【フィクション】「罪と酒」
「疾走った後は酒で罪を追い出すんだ……。」
昔、とても影響を受けた御仁から言われた言葉。
要はツーリングをした後で酒を一杯やろうって話なのですが、そこにも思う(想う)所はあるのです。
バイク乗り(ライダー)の中ではよく
「酒はバイク乗りのガソリンだぁっ!」
なんて冗談を聞いたことありませんか?今の時代ではバイクに乗る前に酒を一杯やってからって話になると、冗談では済まされない訳ですけど…。何か格好のいい響きだったと思います。
現在、ツーリングが終わった後に私も酒と名のつくもの(主にビールなんだけどね)を飲む事が習慣化しています。こればっかりはバイクに乗る人の個人的な事だと思うのですが…、ツーリングをすると、公(おおやけ)には出来ないいくつもの違反(誤解のないように安全は考慮した)は多くのバイク乗りのが犯していると思っております。
例えば車の抜き方だったり、快適とされる巡航速度(法定速度に関する)だったり?あくまで道路交通法での話としたいですけどね
その上で、
「お前?今日のツーリングで何台のクルマ(それ以外も)抜いてったかわかるか?」
それを聞かれた当時、敏感(緊張)に走りを共にしていた私にとってはその意味はなんとなくですが、理解していました。
要は車の抜いた台数の詳細そのものにはあまり意味はないという事。
これも個人の主観ですが、ほとんどの場合で、バイク走行中での車の追い抜き、追い越しは道路交通法では速度、抜き方、車線、などなど…「バッテン(✖️)」が点く事が多いと思っています。
細かい事はぬきにして、たくさんの「罪」がからんでいると…。
それだけではありません。高速道路を疾走っている多くのバイク乗りがわかると思いますが、ヘルメットのシールドや、バイクのライトや、カウルなどに、たくさんの「虫」が張り付いていたりする事を知っている事でしょう。
それ等は走っていた自分(バイク)にぶち当たり「命」を絶たれた訳です。
それこそ、小さな羽虫から、蝶々、蜂、カナブン、蝉…(鳥や狸、鹿という人もいるでしょう)数え上げたらキリがないくらいの「生命」を絶っている罪……。
それ等たくさんの罪をツーリングで積み上げ、そして「酒」という特別なものでそれを「清める」って事なのでしょうね。
「疾走った後は酒で罪を追い出すんだ……。」
…もちろん、個人の主観でしかありません。しかし、その後にこう付け足されのです。
「……その上で、今日もよく生き残ったってな…。(と一杯)」
…帰還への安堵の意味が含まれた言葉…そう言う気持ちでの一杯。
今風に言えば「ルーティーン」ってヤツなのかもしれませんが、祈りにも似た「儀式」「ゲン担ぎ」を私自身も同じ気持ちで(あくまで個人の主観ですが)行うようになり早幾年……。
ああ、断っておきますが、ツーリングの度に「何台抜いた」とか「何匹殺した」とか数えている訳ではありませんからね。(苦笑)
しかしながら、私にとってのこの「ゲン担ぎ」はこれからも続けて行こうと思っています。
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